入院生活も日を追うごとにシステムが理解でき、少しずつ人間関係も構築されて行きます。
父の入院していた病院は、一般病棟と療養病棟に別れ、フロアによってもスタッフが違うので、
病床が移動する度に、新たな人間関係を築いて行かなくてはなりませんでした。
この頃の父は、既に全盲に近い状態だったので、看護師・介護士さんは声で識別するしかありません。
1ヶ月もしない内に、父はスタッフの名前を覚えます。何か頼みたいことがある時、
近くで誰かの声がしたら、「○○さん、××してちょうだい。」とお願いします。
私はその暗記力に感心させられました。
誰がどのような性格かも自分なりに分析し、私の耳元でこっそり話してくれるんです。
眼が見えないながらも、声質や口調で敏感に感じ取っているんでしょうね。
食事介助の仕方、排泄介助時のおむつの上げ下ろし、その他もろもろ、
人によって全然対応が違うようです。性格や気持ちがそう言う所に出るんでしょうね。
父はとても繊細に受け止めていました。頭はしっかりしているので、裏話もたくさん聞けて面白かったです。
後程、別ページで紹介します。
結局、半年間病院のお世話になったのですが、4回部屋が変わりました。
その度に、大勢のスタッフの方とバトルを繰り広げ、その内追い出されることになるのではとヒヤヒヤしていました。
一般病棟から療養病棟に移動したのですが、一般病棟と違い、元気な方が多いので雰囲気もだいぶ違います。
4人部屋で、スペースが広くなり、食事の介助もしやすくなりました。
本来は、食堂でひしめき合いながら食べるのですが、私が来た時には部屋で食べさせてもらいます。
病気ではないので、普段食べることのできないお造りなどの好物をこっそり持ち込んで食べさせてあげます。
別に隠さなくても大丈夫なんですけど。
ようやく病院生活にも慣れ、人間関係ができた頃に施設へ入所できることになりました。
入院中、母が亡くなりましたが、ずっと傍に付いて最期を看取ることができたのも、この病院に入院させて頂いていたお陰だと思います。
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施設入所〜現在リハビリ中