人間には寿命があります。若くしてこの世を後にする人もいれば、
精一杯長く生きる人もいる。突然の事故に巻き込まれる人もいれば、
自ら命を絶つ人もいる。人それぞれに生き方はあるし、死に方もある。
しかし、あまり死に方を考えている人はいないのではないでしょうか。
死に方の前に、今をどう生きるか、生きることで精一杯な人が殆どだと思います。私もその一人です。
残念ながら、母は亡くなってしまいましたが、父はまだ生きています。
最愛の母を失い、視力も失ったのに、まだ生きようとしています。
このようなことになったのも、今こうして生きているのも、父の人生だと思います。
でも、このような状況になったからこそ、親子の絆が深まったんだと思います。
私は父が大嫌いでした。ある時期、恨みもしたほどです。
でもこの歳になり、父の存在の大きさに気付いたのです。
長年、空白になっていた父と私の関係を今から少しずつ埋めて行こうと思っています。
父は私より34歳長く生きています。34年先を生きています。この距離は縮まることはありません。
しかし、父がこの世を去ってから、1歳ずつ、1年ずつ、父に近付いて行くのでしょう。
今、父が45歳だった頃の気持ちが分かります。34年後、今の父の気持ちが分かるんだと思います。
父の気持ちも知らず、好き勝手やって来た私はとても親不孝者でした。
今少し父の気持ちが分かるようになりました。
少しずつ親孝行したいと思います。
最近、父がポツンと言いました。「畳の上で死にたいわ。」
私は必ず父の願いを叶えます。