今後ますます深刻化するであろう問題に、この高齢者虐待問題が挙げられます。
介護疲れから親や配偶者を虐待するケース、最悪は殺人事件にまで発展するケースも聞かれます。
先日の読売新聞に、昨年度介護施設の高齢者に対する施設職員の虐待とみられる行為が、
少なくとも498件もあったことが国の調査で分かったそうです。
暴言を吐くなどの心理的虐待が最も多く、
次に殴る蹴るなどの身体的虐待、緊急時以外に体をベッドに縛ったりする身体拘束、
介護・世話の放棄・放任がそれに続き、性的虐待や経済的虐待なども起こっているようです。
そして介護職員の3人に2人が2005年に成立された
高齢者虐待防止法の内容を知らないそうで、
特に介護経験3年未満の職員は法の存在自体も把握していないそうです。
あれは確か母が療養病床にいる頃でした。比較的元気な方が多い病棟で、一人で車椅子を操作している人もいます。
その日は日曜日で平日に比べ看護師さんが極端に少なかったように思います。
ちょうどお昼を終えた後で、少ない看護師さん達がバタバタと走り廻っていました。
するとある部屋から看護師さんを呼ぶ声が聞こえます。
しかし手薄なスタッフなので、誰も対応してあげれません。
何度も何度もお年寄りが叫びます。そしてやっと看護師が対応します。
でもその対応とは罵声を浴びせることでした。
当時、そのフロアには私以外に面会者がおらず、私も病室の中にいたので存在に気付いてなかったのかもしれません。
その看護師はお年寄りに対し、ヒステリックに罵声を浴びせ続けました。
その後、悔しそうなお年寄のうなり声が廊下に響き渡っていました。
これが病棟の実情か・・・こんな環境じゃ、良くなるものも良くならないと思いました。
私もよくいろんなお年寄りにあれしてこれしてと服を引っ張られたりしたことがあります。
恐らく認知症の方だったと思うのですが、様々な人達をを毎日大勢相手にされている看護師さんや介護士さんには頭の下がる思いです。
しかし、人間には限界というものがあり、無理な人員配置による過酷なシフトがストレスを引き起こす大きな原因になっているんでしょう。
そしてそのことが離職率の増加にもつながっていることを、病院や施設の管理者にも認識して欲しいものです。
いや、恐らく認識されているのでしょうが、これ以上どうしようもないというのが現状でしょう。
私はこの数年間、病院や施設を訪問して感じるのですが、面会に来る家族が非常に少ないと思います。
もちろん忙しくて面倒みれないから入院・入所してもらってると思うのですが、
病院や施設のスタッフに任せっきりではなく、できるだけ時間のある時は顔を出してあげることが大切ではないでしょうか。
それにより、親御さんも気分が落ち着き、スタッフの方も負担が軽減され好循環を招くのではないかと思います。
悲惨な事故を起こさないようにするためにも、一人で負担を抱え込まず、多くの方と手を取り合って介護して行くことが、
一番大切なポイントではないでしょうか。